子供の頃から機械をいじるのが好きで、最初は自転車、ヘッドライトやバックミラーをごちゃごちゃ付けるのから始まって、それに飽きたら今まで付けたものや、泥よけ、荷台なんか無駄なものを外すようになって、次はハンドルを変えたり、ワインマンやカンパニョーロのパーツに変えたり、自分の好みに改造するおもしろさを覚えて、二十歳ちょっと前の頃にはクルマいじりにはまってしまって、フロントグリルを外したり、メッキパーツを黒塗装したり、マフラーを交換したり・・。石原裕次郎の「栄光のサファリ」でラリーにあこがれていた僕は当時兄貴から譲り受けた510型ブルーバード3Sのサスペンションを、親しかった修理屋さんの工場と道具を借りて日産純正のラリー仕様に改造した(もちろん整備士の指導の下でね)。たまたま叔父が住友ダンロップに勤めていて、実際にサファリで使用したタイヤまで付けてね。ちなみにそのタイヤは今では普通のラジアルではなく、クロスプライやった。当時の技術の側面の弱いラジアルではサファリの悪路でバーストするのが常やったみたい。グリルにシビエのランプ付けて、マッドフラップ付けて、今では田舎の暴走族しか着けない四連トランペットのフォーンまで付けて、自称完全装備。ロールバーやレカロのシートまでは経済的に手が届かなかったけど、見た目完璧。自分の手で改造した車を初めて走らせた時のロール感のない固い安定感と感動は今でも鮮明に覚えています。たのしかったよなぁ〜あの頃は・・。
働き出した頃からは時間的にも経済的にもクルマをいじることは出来なくなったけど、印刷会社に勤めだして数年で軽オフセットの印刷機くらいなら分解整備が出来るくらいになってた。
機械いじりはやめられへんかったんやね。
そんなに好きな機械いじりやのに、子供が出来てからは子供の成長の方が面白くて、好きだったことすら忘れてしまって数十年。忘れていたおもしろさを思い出させてくれたのが腕時計かな。大きな機械が、手の平に乗るこんな小さな機械になったけど、やっぱり面白いね、機械いじりは。
いつもどおり前振りがだらだら長くなってしまったけど(昔話するようになったら終わりかな)、再び安いクロノグラフを楽しみます。
SEIKO SND367。スピードマスター似のセイコー海外版です。
一年くらい前かな、「安いクロノグラフ改造編(under ¥10k)」で同型白ダイヤルのSND363をいじったのが時計いじりの始まり。これが失敗だったので、リベンジの意味も込めて今度は同型黒ダイヤルのSND367をいじってみようと思います。
まずは、概要
詳しいデータは省きます。多機能なクォーツクロノグラフムーブメント 7T92 を搭載した1/20秒高速クロノグラフです。なにより特徴的だと思うのは、小ぶりな幅38.5mm(リューズ除く)のケースです。ケースは小ぶりですがラグからラグの全長は46mmとちょうどいい長さがあります。厚さは11mmとこれも薄めです。いつも言ってますが170mmの僕の細腕にはこれくらいのサイズがちょうどいいんです。クロノグラフによくある43mm超えのケースなんか、僕が着けると腕に金魚鉢をくくりつけたようになってしまいます。ダンディな僕(自称:だれも言ってくれないので)としてはこれは許せません。ただ、もう少し厚くてもいいのかなとは思います。裏蓋が薄くてなんとなくチープに感じるからです。
サイズはいいのですが、他にもチープに感じる部分は多々あります。ベーシックラインだから仕方ないとは思いますが。
例えば、ダイヤル外周の分厚いチャプターリングです。今回のSND367は黒なので少しマシですが、前回の白のSND363は、隠れて目に付かない機械部分に使用するスペーサーのように見えて実際興ざめしてしまいます。これ、写真ではなかなかわかりません。実物を手にして初めてわかるチープさです。
つぎに、針の細さです。たしかにバランス的にはこれでもいいのでしょうが、白も黒も(特に白)老眼でなくても指し示す時刻が目に入りません。それでなくてもゴチャゴチャしたクロノグラフのダイヤルの中で針は見えないのです。ピッカピカのクロムメッキされた針は周囲の光を受けてダイヤルに溶け込んでしまいます。白く見えるルミの塗料だけがたよりです。
また、ケースですが、これもピッカピカ。ピッカピカでもいいんですが、正直言って高級感のないピッカピカです。
もちろん、このクラスに高級感を求めるのは間違っていると思いますが、無理にチープに見せることはないと思うのです。
全体的にもほんのり薄っぺらいチープ感があるのは否めません。仕上げのまとまりがいいだけに、なおさらそう思います。
ベルトは腕に装着してしまえば、さすがセイコー。見た目はいいのですが、着け外しするとバックルも部材も感触も音もチープ感満載です。
ま、いろいろ文句言ってますが、SND367君の名誉の為に言えば、この値段内でこの仕上がりはさすがではあるのです。実際すばらしいと思います。
スピードマスターと比べてみたって、ほらそんなに違いはないやんか!?
そこでほんのり薄っぺらいチープ感をなんとかしてみよう!と思ったが・・
計画は、
1. まずピッカピカのケースをつや消し(自称ヘアライン加工)にして、装飾感より機械感を出す。
2. 次ぎにベルトを手持ちの少しいいものに替える。
3. そして、少しお金はかかりますが、いつものようにミネラルガラスをサファイヤに。
4. 最後に、手間はかかりますが、一年くらい前に紹介した同じムーブメントのパイロットSND255と時分針を交換する。(実は、SND255、いろいろいじったのだけど、花紺のダイヤル色と朱色の計測針の相性がどうも気になって使っていなかったもの)
SND255の針は形は違いますがSND367よりも一回り太いものがついています。これに替えれば視認性が良くなるかなと。
以上の4段階。
1. ケースのつや消し
標題に・・・と思ったが・・と書きましたが、このつや消しが・・失敗やったかな?と思った由縁です。原因はやり過ぎたこと。過ぎたるは及ばざるの典型かな。
見た目はそんなに気にならないのですが、写真にしてみると、「ただキズつけただけやんか」みたいになってます。
ま、ゆっくり時間かけて磨きなおそかな。とは思っています。・・・取り返しはつきませんが。
いつものように風防をマスキングしてケースのみ「3M のスコッチブライト・さび取り用工業用パッド」を当てたのですが、力を入れすぎたかな。
自己責任という言葉をかみしめています。
(この工程の写真とビデオをホンマ苦労して撮影してたんやけど、ほんの不注意から消してしもた。残念。)
2. ベルトの交換
NATOタイプもいいけど、今回はタイコノートのステンレスブレスとハドリーローマのMS881を選びました。
(ハドリーローマの革バンドはこちら➡ WatchStrap-Selection 一度見てね!)
正直ここまでの段階で一気に雰囲気は変わります。
もともとこのクラスのセイコーの時計はベルトを替えるだけでも一気に雰囲気が変わります。
加えてケースの無駄な艶を消したことで機能的な機械感が出て一層「虚飾を排した男の時計」感が出たと思います。
3. サファイヤクリスタル
腕時計の風防ってガラスをいいものに替えるとこんなにイメージが変わるのかと思うくらい見た目の雰囲気が「きれい」系に変化します。
今回も、クリスタルタイムさんからARコーティング青着色、フラットなサファイヤクリスタルです。標準のミネラルガラスよりも少し厚めでベベル状にカットされたものを選びました。(実は他に選択肢がなかったから・・)
ベベル状のカットで厚み感とチープだと指摘したチャプターリングを目立たなくさせるのが目的です。
ここまでの結果がこれ、
作業前と比べてみると・・・
さて、腕に着けるとこんな感じ。
4. 最後は針の交換
前回悪戦苦闘した針の交換ですが、今回は新しい剣抜きと明工舎の剣押さえを買ったので万全だ!と思いきや、やはり悪戦苦闘の時間が待っていました。針を水平にキチンと入れるのはほんと難しい。特に老眼の目と震える指ではなおさらやね。少しコツはつかんだ感じはするけど。(実は新たに買った剣抜きが失敗でした。やっぱり工具は安物はアカンね。この件、腹が立つので後日詳しく書いてみたいと思っています。)
さて、とりあえず今回の最終形です。時分針がはっきり見えるようになりました。なかなかいいね、いや、かなりいいね!と満悦です。
動画はこちらで
こちらは針を交換したパイロットSND255の現在の姿。

オリジナルの計算尺ベゼルをいじっている内に色落ちはさせるは、キズは付けるは、あげくへこませてしまうはで、結果つぶしてしまったようなもので。しかたなく、ダイバー用のペプシ色のベゼルインサートを付けてあります。
今回の針交換のついでにセンタークロノ針を朱色から黄色に塗り替えました。おもちゃっぽいけどなかなかいいでしょ。
こうして見ると交換した時分針はやっぱり細いね。
今度、針とベゼルを替えて、原型がわからないほど違う物にしてやろう!と思っています。
あ〜今回も目が疲れた。目が疲れると肩が凝る、肩が凝ると歯が痛くなる、歯が痛くなると頭が痛くなる、頭が痛くなると目がしんどい・・・。悪循環やな。しばらく続きそうやな。ちょっと休もかな。(ぐちゃぐちゃ言い訳せんと早よ仕事せい!仕事せんと遊ばれへんぞ。さっ、気合い入れて仕事、仕事。)