シンプルなバウハウスデザイン、役に立つドレスウォッチ Orient BambinoSER2400KA0

オリエントバンビーノSER2400KA0の紹介です。
クラシックなイメージのSAC00008W0に続き二つ目。こんどはバウハウス的デザインでグレーダイヤルのバンビーノ。
ピンクゴールドのインデックスを持つSAC00008W0(以前の記事)とグレーのダイヤルのSER2400KA0。どちらもシリーズの中ではちょっと変わり者ですが、どちらもきれいな時計です。

スペックから

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【スペック(寸法は実測)】
a:46.5mm / b:40.5mm / c:d:36.2mm / e:43.2mm / f:約2.5mm* / g:2.2mm / 厚さ:12mm
バネ棒込み本体のみ重量 :53g(*ベルト含まず)
写真の手首幅 : 55mm
*f はバネ棒通しの穴の中心からボディまでの隙間
●ムーブメント :cal.Orient F6724
●ケース :ステンレス、側面=二次元曲面、側面=つや消し、上面・ベゼル=グロス
●風防 :ミネラルガラス(ボックス型カーブ)
●防水 :3気圧 / ●裏蓋 :ねじ込み式
●カレンダー :3時位置DATE
●ダイアル色 :グレー
●ベルト :牛革型押し(黒)、ベルト幅=21mm
●手巻き機能・秒針停止機能なし

最大の売りはデザイン?少し大きすぎる?

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典型的バウハウスデザイン、とてもシンプルなインデックスと湾曲した文字盤、ボックス型の風防、文字盤の湾曲にに沿って先端がカーブ分針・秒針。昔はこういうデザインが多かったと思いますが、最近では珍しいクラシカルでとても上品なデザインです。

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この機種の文字盤はグレー。他に黒・白・青が選べるようですが、僕はこのグレーがとても気に入っています。
惜しむらくは大きさです。幅40.5mm。ケース幅いっぱいまで文字盤が占めるこの手のデザインで40.5mmは大きいと感じます。特に一般的日本人の腕なら38mm以下にして欲しかったと切に思います。海外向けの製品だからかもしれませんが、デザインが共通するドイツのユンハンス・マックスビル、米国のハミルトン・イントラマティックなんかでも38mmが採用されています。欧米でもこの手のデザインでは大きさを控えるようなのに返す返す残念です。
また、ベルトの幅も大きなケースに対しバランスをとったのか、ラグ幅は21mm。奇数幅の替えベルトって選択肢が少ないですよね。(ただ、20mmの替えベルトをつけてもさほど違和感はありません)

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また、後述しますが、全体のデザインに対して針が短かすぎると感じます。ケースを小さくすることでこの点もバランスよく解決すると思うのですが・・・。
救いは40.5mmという微妙なサイズ。大きすぎるという実感はあるけれど、ぎりぎりの許容範囲。これが41mmを超えるとダメ!というところです。

秒針停止・手巻機能はないけれど、信頼に足る精度

仕上げもよく、精度の良い機械式自動巻。価格を考えればコストパフォーマンスはかなり高いと思います。
特に驚いたのは精度のよいことです。正確には記録を取っていませんが、感覚的には日差5秒以内。一週間ほとんど修正なしで過ごせます。これはSAC00008W0も同様で、この価格帯でもオリエントのムーブメントは非常に優秀だと感じます。

欠点は?

大きすぎるというのは僕の細腕にも原因があるので欠点とは言えないでしょう。それを除いて最大の欠点は、針の形です。グレーのダイヤルに銀色に光る平坦なバー型の時分針。しかも短い。よほど光線の環境の良いところ以外では時刻が読めません。これは最大の欠点。

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いくらデザイン優先のドレスウォッチだと言っても一瞥で時刻が読める視認性は基本だと思います。
平坦な形の針は、一方向からの光しか反射しません。視点と針の対象角の延長上に光源がなければ銀色の平坦な針はただの灰色で文字盤と同化してしまします。
特に光源が限られている室内ではほとんどの場合一瞥で時刻が読めません。
また短い針も全体のデザインをよさを削いでいると感じます。少し針が細くなっても、時・分・秒針ともあと1〜2mm長ければとても高級感が増すと思っています。せっかく針先を文字盤の湾曲に沿って曲げるような細工までしているのだから、もう少し長い針が欲しいと思うのです。

非常にレベルの高い機械式エントリーウォッチ

いろいろ自分好みの欠点なんかも書きましたが、総括すると大変コストパフォーマンスの高い時計だということは明らかです。
正真正銘日本製の海外向け商品。ネットでは11千円くらい〜25千円くらいで売られています。
仕事にも、レジャーにも、冠婚葬祭にも、どんな場所でも違和感のないオシャレで嫌味のないシンプルなバウハウス的デザイン。シックな色合いの文字盤。よく磨かれた薄いケース。どれをとってもとても高いレベルでまとまっていると思います。
ただし、防水は3気圧ですから、水場でのレジャーや仕事、ハードな使い方にはには向かないでしょう。
以前記事にした兄弟のSAC00008W0は、自分では使い場所を選ぶ時計だと感じましたが、このSER2400KA0は使い場所を選ばない時計だと思います。つまりは役に立つ時計です。
機械式のエントリーモデルというだけでなく、もう一本おしゃれな時計を、と思っている人にはオススメできます。
ただし、少し大きいよ。

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動画は以下で↓

オールマイティ・SEIKO Mechanical SARB033

やっぱりいいね!セイコーメカニカル

以前に記事にしている SARB035 と同型の黒ダイヤルです。
白(オフホワイト)ダイヤルの SARB035 は、一見地味な目立たない極普通のドレスウォッチ(またはビジネスウォチ)と思われがちですが、なんのなんの、ベルトを替えるだけでビジネスからカジュアルまでなんでもこなせる優等生でした。(以前の記事を参照してね→ SARB035 最高のコスパ! ドレスウォッチの決定版!(Under ¥50k) )
今回は同型の黒ダイヤル、SARB033 です。

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38.4mm×44.5mmの今では少し小柄なサイズに、邪魔にならない11.2mmの厚さ。このサイズが僕の腕にはちょうどいいのです。(なんども書いてますが僕の細腕は幅55mm、周囲170mm強です)
それに加えて、エレガントでスポーティな引き締まった黒ダイヤル。もうなにも言うことはない、やっぱり優等生です。

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スペック

SARB035 に記事にスペックがなかったので紹介しておきます。
いつもの図面は省略させてね。
●Dial window : Sapphire crystal
●Display Type : Analog
●Case material : Stainless Steel
●Case width : 38.4mm
●Case length (Lug to Lug) : 44.5mm
●Case Thickness : 11.2mm
●Dial color : Black
●Calendar : date
●Special features : Luminous
●Movement : Automatic cal.6R15
●Water resistant : 10 BAR

●Clasp : Buckle
●Band Material : Stainless Steel
●Band width : 20mm

改めて、最高のコスパ

安くても世界的に定評のあるセイコーのインハウスムーブメント・6R15。23石、21,600振動ではありますが、さすが国産スムーズに時を刻みます。精度も日差±10秒前後、日常使用に問題はありません。6R15は他にいくつか使用していますが、荒っぽい扱いが多い自分でも非常に信頼性の高いムーブメントだと感じています。

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このムーブメントに、とてもフィニッシュの効いた手を抜かない磨きが美しいケース、見やすいインデックス、その略字の先端まで届く分針、略字の内側をピタリと指す時針、この太いドルフィン型の時分針とは対照的なとても細く長い秒針。とてもメリハリのある、引き締まったいいデザインのダイヤル。風防もサファイヤクリスタル。
この価格帯で、これも磨きの効いた無垢のステンレスベルト。
ホント、ETAのムーブメントを載せた20万前後のスイス製時計と比べても絶対遜色ないと断言できます。
メーカー希望45,000円。実利を重んじる人には絶対のコストパフォーマンスだと思います。

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ベルトを替えてみよう!

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付属のステンレスベルトはなんの問題もない良いものだと思います。このままでもいいのですが、これからの秋冬にはやっぱり温もり感のある革ベルトがいいですね。

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で、秋冬に向けて、ストラップチェンジです。写真はカシスのベルト、マウイ・ダークブラウン。編み込みの革ベルトが欲しくて買ったのですが、ネットの写真ではわからないタマムシのような輝きのある代物でした。タマムシには好き嫌いがあると思いますが、ま、これはこれで、ドレッシー且つカジュアルでもいけそうないい感じです。なにより、非常にフィット感のいいベルトで、結構厚みもあるのにカーフのベルト特有の硬さがありません。適度にフィットするいい感じです。
ベルトの話はここまでにして、SARB033につけてみると、ステンレスベルトとはガラッと雰囲気が変わります。
なんか、うれしいね。どっか行きたなるね。
つけたところをコメントしようと思ったけど、あんまりピタッときてしまったのでコメントはありません。
これも時計の素材自体がエエからやろね。
たぶん、どんな色の革ベルトでもピタッときます。色は好みと服装次第で!

視認性のいいダイヤル

先にも書きましたが、各パーツの完璧な配置と、見やすい単純な略字に、太いドルフィン針、しかも、針のセンターを峰にトラス状に立体成型されているので、ルミがなくても、少しの光さえあれば時計の角度次第でキラッと光り時間を読み間違えることはありません。
もちろん、黒ダイヤルに白の針などで、視認性を高めている機種もありますが、「明るい」「薄暗い」「暗い」様々な環境での総合的な視認性ではベストだと思います。
老眼の進んだ自分には、特にうれしい視認性です。

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もちろん、定評のあるセイコーの夜光、ルミブライトも施されているので、全くの暗闇に紛れ込んでも2・30分、じっと目をこらせるか、わざと目をそらすと一瞬時刻が読める状態が数時間続きます。
暗闇の中、懐中電灯で20秒ほどダイヤルに光を蓄えて懐中電灯を消すと、感動的なくらい明るく美しく光ります。

動画はこちらで!

最後に

日本に生まれてよかった。こんないい時計が、Under$500 実売30千円ちょいでで買えるのだから。
先に”ETAのムーブメントを載せた20万前後のスイス製時計”と比べてって言ったけど、心からそう思います。
欧米人が ”ベイビーグランドセイコー” ってよく言うセイコーのメカニカルシリーズ。
特にSARB033と035、どんなシチュエーションでも役に立ってくれるオールマイティな日常時計の最右翼です。
僕は大好きです。まさに日本の良心やね!

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