少し本格的にレビューしてみたいと思う
SND255PC、ネット通販などでみるとレビューの数がとても多い。きっと人気のある機種なんだと思う。同型の黒ダイアルはSND253。今まで1万円以下のファッション時計をしていた人には本格的な腕時計として、3万円以上のビジネス時計をしている人にはカジュアルにお勧めできます。
感想まとめ
●高級感を期待してはいけない。確かに値段相応のチープ感はあるが、決して悲観するほどのレベルではない。
●充分日常使いできるよい素材。自分なりにカスタマイズするとベター。
●時計としては機能面で満点と言ってもいい信頼できる時計。
【プラス面】
ちょうどいい大きさ・重さ。日常の使用に気をつかわない防水性・堅牢製。見やすい文字盤。操作しやすいクロノ。
温泉やゴルフ場で置き忘れても、後悔はしても頭が真っ白になるほどではない価格設定。
【マイナス面】
ダイアルの色。ケースの仕上げ。メタルベルトのシャラシャラ音。
【スペック(寸法は実測)】
a:46mm / b:40mm / c:31.5mm / d:27.5mm* / e:43mm / f:約2.2mm* / g:4.5mm / 厚さ:10.5mm (写真の手首幅 : 55mm)バネ棒込み本体のみ重量 :54g(*ベルト含まず)
*d はインナーベゼルを除いた文字盤の直径 *f はバネ棒通しの穴の中心からボディまでの隙間
●ムーブメント :7T92 クロノグラフ
●ケース :ステンレス、側面=二次元曲面、ラグ上面のみつや消し、他はグロス
●風防 :ミネラルハードレックス(フラット)
●防水 :10気圧 / ●リューズ :ねじ込み / ●裏蓋 :ねじ込み
●インダイアル :12時位置=1/20秒計・6時位置=2針60分/12時間計・9時位置=通常秒針
●カレンダー :3時位置 DATE
●ルミブライト :1,2,4,8,10,11時略字 / 時・分針とストップウォッチ秒針
●ダイアル色 :ブルーメタリック
●ベゼル :双方向回転式(計算尺)、色=ブルーメタリック着色・反転印字
●クロノグラフ :1/20秒〜12時間計測、計測中断-計測再開可(中断を含まない総時間)、計測中断-計測継続可(中断を含む総時間)、リセット=時計回りにグルッと0位置に戻る(カチッと瞬時には戻らない)
●ベルト :ステンレス(巻き板)、ダブルロック付き三つ折れクラスプ、バンド調整=割ピン、バンド幅=20mm
さて、この色をなんと評価するか?
この時計の第一の特長は、ベゼルとダイアルの色でしょう。メタリック感のため、紺、濃紺、濃紫、群青、受ける光によって印象がかわる。
正直言って、好みの分かれるところだと思う。僕はどちらかと言うと否定的。いっそフラットなネイビーでいいのではと思う。
夜の照明の下や、昼間の室内などでは非常に落ち着いた紺色で好感が持てる。しかし、屋外では日光の状態で紫に見えたりする。これがあまり好きではない。弱い光のなかではそこそこ高級に、強い光のなかでは時に最大級に安っぽく見える。
しかし、良くも悪くもこの色がこの時計を最も強く印象づける要因だと思う。
少し気に入らないから使わない、ではもったいないので、このダイアルの色にぴったりなじみ、しかもおしゃれに使えるベルトを探してみようと思う。内容は後半に。
made in japan とは明らかに差のあるケースの出来
フェイスの色を、ある時最大級に安っぽく見える、と言ったが、ケースも同様。セイコーの時計は丁寧で美しいケースの磨きが一つの大きな特長だと認識している。誇れる in house movement と共にセイコーの良き伝統と。
しかし、実売価格2万円以上のものと明らかに差がある。金属の加工には詳しくないが、表面処理のフィニッシュに問題があると感じる。例えば下の写真(右側)。ベルトに隠れるラグとラグの間。なんとも安っぽいシワが見えるでしょうか。
これほどではないしにしろ、本体側面、反リューズ側も細かなうねりが見える。グロス仕上げの2次元曲面なので、ささいなことではあるが周囲の映り込みで安っぽさが出てしまう。そう、ほんのさささいなことが重要なんだと思う。
これと同価格帯のSND363も同様であった。若干価格帯がアップするからかダイバーのSKXなどにはこの現象はない。
単にコストの問題なのか、製造国の違いなのか、よく分からない。
そもそもケースはどこで作っているのだろう?製品には「cased in XXX」と記載されたシールが貼られているので、組立は外国でも、部品製造は国内だと思っていたが・・。
いずれにしても、このままでは使いたくないので、ケース側面をヘアライン風に処理してマットにし反射を抑えると、自分なりにはかなり問題の解決を見た。と、思っている。(写真左側)
時計としての機能的は充分以上
大きさも、厚さも、重量も、共に過ぎずちょうどいい。腕に着けてまったく違和感のないいい仕上がりだと思う。
その色もあって一見派手なフェイスも、40mmのケースの中に収まってるので品の悪い押し出しもなく、ビジネスに使っても問題は無い感じ。
防水は10気圧、水泳くらいなら使えるもの。また、このクラスには珍しくねじ込みリューズとなっているから防水の信頼性もより高まる。(但し、リューズが小さくて回しにくいのが欠点)。日常の雨や水はまったく気にせずガンガン使える仕様になっている。
しかも、公称精度月差±15秒(実際は±10秒以下だと思う)の正確性で、ストップウォッチは1/20秒の高速で12時間計測出来る。フライバックなどの高級機能は無いが、計測中に再度計測ボタンを押せば中断し、さらに押せば停止している秒針はその位置から計測を再開する。この機能はたびたび中断時間が発生する連続作業の実働時間を計るのに適している。
また、計測中、リセットボタンを押せば秒針は停止し、一定時間経過後再度リセットボタンを押せば、押した時点の位置にすばやく針が進み連続時間の計測を継続する。という興味深い機能も付いている。この機能は中断が発生する作業の最初の実働時間と総合的な所要時間を計測するのに役立つ。実利にかなった機能だ。これらは総時間12時間以内ならきっちり機能する。陸上競技や水泳、モータースポーツだけでなく、仕事上にも使える機能だと思う。
ルミブライトも抜けた歯でマヌケに大笑いしたように6ッの時刻位置でしか光らないが、セイコーの定評どおりきれいに光る。
見やすく正確な時刻表示、1/20秒の高速でクルクル回る計測針、簡単な操作で使い分けられる時間計測。一瞬の時間差の計測から何時間にも及ぶ時間の計測までこなせるわけで、機能的にはまったく文句はない。
むしろ、この値段で、ほんとにいいの?と思う。脱帽です。
もし、セイコーが市販のクオーツムーブメントを開発していなかったら、機械式でこれらの機能を正確に満足させようとしたら、いったい値段はいくらになるのか?100千円以下では絶対無理でしょう。スイス製なら200千円以下では絶対売らないと思う。
この機能が10千円前後で手に入るって、すごい。セイコーがスイスに嫌われたのも納得できます。クオーツはこわい。
ベルトはそれなり
ステンレスメタルのブレスレット。見栄えはしっかりしている。なんの不備も問題もない。バックルもきちんと節度ある閉じ方でロックのクリック感も問題なし。でも、見た目は分からないが巻き板式なのか特有のシャラシャラした音がする。高級感はない。ま、値段からすると当然かな、むしろ充分以上におごったと仕上がりではある。シャラシャラ音が気になる人には不向き。
パイロットは本当にこのベゼルで燃料や航続距離の計算をするの?
ベゼルに目盛られているのは様々な計算ができる円形計算尺。計算尺、中学の時に普通の物を買わされた。なつかしい。
計算尺なので、ベゼルはラッチも付かず双方向にスルスルスムーズに回る。
掛け算・割り算・比例計算、時間と速度と距離の計算、燃費の計算、航空機の上昇・下降の率や時間の計算、他距離や重量の単位換算などができる。らしい。すごい。でも説明書を見てもわからない(アホやから)。そもそも裸眼ではこんな小さな字や目盛りは見えない。理工系の人たちの間では便利に使っている人もいるらしい。
今の航空機のパイロットは計算尺なんか使わないという話を聞いた。たぶん、一般的にはそうなんだろう。でも、面白そうなので、今度挑戦してみる。(報告できたら報告します・・自信ないけど)
では、ピッタリのベルトを探してみよう!
主にNATOタイプのベルトに着替えてカジュアルに!ただし、ベルトの厚みには注意!
総括すると、非常に便利な機能と素晴らしい精度を持ったまさに実用時計です。
冒頭の話にもどりますが、不満はダイアルの色と附属のメタルベルトです。附属のメタルベルトは可も無し不可も無し、普通の印象でこの時計にフィットしています。
でも、シャラシャラ音が気になって、できれば他のものに替えたいと思うのですが、メタル以外でこのダイヤルに合う色ってどんな色でしょうか。
ベルトで印象がかわれば、ダイアルの色もあまり気にならなくなるのではと思うのですが、白や黒のダイヤルよりベルト選びは難しいようです。
そこで、いろいろ試してみた結果を見てください。好みもあると思いますが、この時計を買ったり、検討している人の参考になればと思います。
革ベルトは、少しでもいい物を選べば、特に安い時計を一気にそこそこ高級な印象にしてくれます。こんな感じ。特に焦げ茶はいいですね。青は(写真にはありませんが黒と同様)少し微妙です。
カジュアルに使うなら安いNATOタイプでOK。紺系が基本で無難かと思いますが、遊び全開ならオレンジも似合います。結局こういう使い方が一番似合っているのかなと感じます。色や柄でインパクトのある物の方がおもしろく使えます。緑系は色合いの選択が難しく、彩度・明度を間違うと全く似合いません。
★但し、冒頭スペックにあるように、寸法計測点の f 、バネ棒と本体の隙間が狭いのです。直径1.4mmのバネ棒でも本体との隙間は1.5mmです。
厚さが2mm以上のNATOやメタルでもエンドピースのごついものは装着できません。注意が必要です。
NATOタイプなら実は黒が似合います。但し、おもしろみはないね。
僕の今の一番はこれです。黒・紺のストライプに白のステッチ(540円で買いました)。本格的なビジネス以外ならどこへでも連れて行けそうです。それに、時折見せるダイアルのメタリックな安っぽい紫の光を和らげているようにも見えます。(あくまで使っている時の印象ですが)
SDN255、機能と値段を考えればとてもコストパフォーマンスの高い時計だと思います。色さえ気に入れば損のない時計だと断言できます。
たった一万円の時計を楽しみながら使えれば、これ以上のおしゃれはないのではと思うのです。しかも、時計本来の機能は完璧ですから。