腕時計のバンド、なんでこんなに高いの?

替えバンドって結構高いと思いませんか

サラリーマン時代に時計のバンドの遊革(余ったバンドを止める輪)が切れて百貨店に買いに行ったことがあります。
当時していたのはオメガのドレスウオッチで、黒のコードバンのベルトでした。それまで替えバンドの値段なんか知らなかったのでその値段を聞いてびっくりしたことがあります。確か一万円を少し超えるくらいだったと思います。しかも、ただの替えバンドで、オメガの美錠の付いたものなら、取り寄せで倍くらいかかるといわれました。
安サラリーマンだった僕の懐ではどちらも買うことができません。
仕方なく、確かバンビだったと思いますが吊しで売っている黒のカーフを4000円位で買ったのを覚えています。

革バンドの失敗しない価格帯

ここ一年以上、安い腕時計で楽しみたく、革バンドもいろいろ見てきましたが、やっぱりいいものは高いですね。

top
左から2つめ・右端はカシスMAUI: 6,480円。左から4つめMiLTAT Antipode: 10,260円
D_comparison
左2本はFLUCO Horween Shell Cordovan: 8,208円、中央Morellato BOLLE: 5,400円、右同HAYEZ: 7,560円

国産以外の海外メーカー(中国のメーカーを除く)の名前の付いたものなら、5000円以下で探すことは難しいことが分かりました。また、国産の腕時計でも純正の替えバンドは同じですね。
ちなみに、僕が国産の安い腕時計を買う時、革バンド仕様とステンレス仕様があれば、ステンレス仕様を選んでいます。後にバンドを替えてみたくなった時に、単品でステンレス製を買うより、革の替えバンド(少々高くても)を選んだ方が安いからです。特に純正のステンレスは高いと感じます。
話がそれましたが、3000円以下の革バンドを探していると、ノーブランド(かノーブランドに近い)中国製しかありません。
僕もいくつか試したのですが、中でも最悪の思い出は、アマゾンで買った1500円のカーフ・クロコダイル型押しのバンドです。それはひどいものでした。スティッチされているのに芯ははずれてベコベコだし、美錠は針が甘く力を入れて引っ張ればものの見事に外れてしまう手品のようなバンド。こんなもの売ってはいけないという代物でした。それに近い製品がかなりあります。
ただし、アタリも確かにあります。海外サイトですがE-bayでなんと8ドル(香港からの配送込み)で買ったものは見た目も使用感もなんの文句もないいいものでした。(ただし、アレルギー対策や耐水なんかはわからないけどね)
経験的にノーブランドでも、買うなら3000円以上ならなんとか痛い目には遭わずに済むのではないかと感じています。
そして失敗したくなければ、国産を含め最低5000円前後、できればそれ以上のブランドもの、ということになります。

ブランドものの海外と国内の価格差

驚いたのは国内で売られている海外ブランドものの製品の価格が、特にアメリカなどではとても安く売られていることです。
アメリカは腕時計の大きなアフターマーケットをもっていますから仕方ないのでしょうが、例えば僕のお薦めのハドリーローマのMS784。普段使いのドレスウオッチには最適のバンドです。

top_imgp2655

イタリアのモレラートがリーズナブルでいいと思っていた僕はこのバンドに感銘を受けました。(なぜいいと感じるかは別のページに書きたいと思います。)
最初僕はこれをE-bayでアメリカの販売会社から29.95ドルで買いました(後で分かりましたがこれはメーカー希望価格です)。但し配送料が2000円近くかかりましたが、製品自体は3500円弱です。同じ製品を国内の通販サイトで探すと、楽天やYAHOOで1万円強、アマゾンではなんと1万9千円〜2万9千円もします。

amazon784
海を渡っただけで、普及品が高級品に化けてしまいます。ハドリーローマだけではありません。他の有名ブランドも結局は同じような値付けです。値付けは自由ですが、海を渡る費用としては高すぎませんか?僕にはこの価格差が納得いきません。

革バンドの替えは必需品?

革バンド、所詮革製品なので金属に比べ劣化も早く、修理もきかないので一生ものとはいきません。腕時計が生きている限り替えは必需品です。極端に言えば消耗品です。
それに、特に3万円以下の安い時計を買った時なんか、使い心地のいいバンドが付いていることはホントに希です。
そんな時、変えるならやっぱり綺麗で、おしゃれで、センス良く、使い心地・装着感も良く、しかも価格的にリーズナブルなものが欲しいですよね。
しかも、そういういいバンドを付ければ、安い時計や古い時計が見違えるほどいいものに変化します。特に国産時計の場合、もともと品質はより高級な海外時計と同等の品質を持っていますから、本来の価値を取り戻すようなものです。

僕は時計も時計バンドも、特に時計バンドは生活の様々なシチュエーションに合わせておしゃれに楽しめば、服装に凝るよりも安く同様に気分を高揚させてくれる絶好のアイテムだと感じています。
センスを問われる足元と手元。特に目に付きやすい手元のセンスのよさは、その人の人生の楽しみ方さえ現していると思うのです。

ハドリーローマの時計バンド
リーズナブルな価格でご提供しています。ぜひ一度ご訪問ください。

NGA WatchBand Selection
logo_m HRlogo

腕時計の風防を交換したよ! MODIFY 計画 その1

SKX009 と shiny SNK809、クリスタル付け替え

今日は大晦日。2016年も今日で終わり。
今年を振り返って思うのは、ほんとに変な気候が続くことが一番かな。気温の寒暖が激しかったり、子どもの頃ならつむじ風は知っていても竜巻なんか日本で起こるものではないと思っていたのに起こるし。とにかく違和感がある。
こんな気候だから人の心も落ち着かないのか、昔なら年間の10大ニュースになるような猟奇的だったり思いも寄らない異常な事件が多発するし、世界的にも情勢は不安定になるし。とにかくなにかにつけ気をつけないとね。

さて、不安定な一年ではあったけど、自分はといえば脳天気に趣味を追いかけて、腕時計を自分でモディファイしてみよう!と真剣にチャレンジすることに。

で、その1。クリスタルを交換します。

対象は、SKX007、SKX009と、ケースを磨いて別物になったSNK809。

sc_01

この3点、風防はみんなミネラルハードレックスのフラットなもの。この風防を、CRYSTALTIMES というサイトで見つけたサファイヤクリスタル・ダブルドーム・ARコーティングという仕様の風防に交換です。
届いた3点のクリスタル。SNK809とペプシのSKX009にはブルーのARコーティングのもの。ブラックのSKX007にはイエローのARコーティングのもの。
sc_02
実は最後のイエローのARコーティングのものは、黄色がきつすぎて、正直に言って失敗。後日あらためて計画を練り直すので今回のレポートからははずします。

風防の交換にはこんな道具がいります。
sc_03
圧入工具です。裏蓋の圧入用のものらしいですが、風防の交換にも使えます。アマゾンなどの通販で中国製なら2千円前後で買えます。これも中国製。
使ってみると、作業時上下の当てになるコマの精度が悪くて中心が出ていないのか、風防の正確な圧入が難しいものでした。なんとか使えるのは使えるけどね。機会があったら日本製の精度の高いコマを買うことにするつもり。
さて、作業開始!

● おおまかな手順は・・・(おおまかでも長く退屈なので最後に示しますね)

結果、こんな感じ

sc_05

sc_04
とても幸せやね。そりゃぁ10万円以上の時計と比べるわけにはいかないけど、高級感がましたというか、安物っぽさがなくなったというか。写真ではわかりにくいけど、ガラス一枚でこんなに雰囲気が変わるものかと感心します。
特に、このブルーのARコーティング、控えめではありますがほんとうに綺麗なブルーを反射します。 SNK809のダイヤルの黒も深みのある黒に見えるようになります。
僕はグラフィックデザインをやっていますが、印刷物の黒ベタを使用する場合、黒インク一色は指定せず他の色を混ぜることによってより深く意味のある黒にします。そんな感じに似ています。
sc_06
どうかな?いい感じだと思いませんか?
腕時計の善し悪しや高級感って、部品の素材や、磨きの丁寧さ、またほんの小さなパーツの素材感によって左右されるということがよく分かります。
一般に高級機って、ムーブメントは除いて考えると、そういうところをうまくついている、あるいは当たり前にやっているのだと思います。
例えば、セイコーのカタログを見ても、50千円前後のメカニカルラインと少し高い100千円前後のプレサージュで、ほとんど同じデザインのものがありますが、使っている素材の違いだけで高い付加価値を演出しているのが分かります。
逆に言えば、安い商品を買っても、ほんの一部の数千円のパーツを変えるだけで、価格にすれば数万円の違いを生むことができるってことだと思います。

ただし! 失敗すれば逆効果もはなはだしいってことになりますが・・・・。あくまで自己責任。ま、作業自体を楽しむ気持ちがあれば問題はありませんね。

先に後回しにすると言ったイエローのコーティングのクリスタルはこちら

sc_08
作業自体は失敗ではありませんが、クリスタルのコーティングがきつすぎるのか、透明度が低く文字盤が暗くなってしまっています。視認性が大きく劣化してしまいます。
日中の戸外など明るいところではまだましなのですが、室内や夕刻の明るさでは視認性に残念な結果となります。イエローはお薦めできません。
こちらは、再度ブルーのコーティングのものに交換しようと思っています。ついでに、ベゼルも「一枚コイン」の形状のものに交換して、SKX007を一気に高級機に仕上げようなんて野望を抱いてしまいました。顛末はまた後日。

さて、書いてみると長くなる交換作業の手順です

まず、確認。
そもそも、時計の正面から風防をパッキンを挟んでケースに圧入するタイプのものでないとできません。ま、フラットな風防の付いた時計はほとんどこのタイプみたいやけど。
sc_09
こんなボックス型の風防は、また別な工具と手順が必要です。

手順

(写真の掲載など詳しくは、今回失敗したSKX007の修復の時に行います。今回は文章だけ)
1. 回転ベゼルの場合は回転ベゼルをはずす。回転ベゼルとケースのわずかな隙間にナイフをこじ入れると外れます。
外すと、ベゼルとケースの間にラチェットリングがあります。また、ベゼル内側にはベゼルパッキンがはめ込まれています。
大切なパーツなので慎重に扱います。
ダイバーウォッチの場合、かなり固くハマっているのでナイフでこじ開ける場合は手を切らないように十分な注意が必要です!手袋をして、ナイフの刃が跳ねても指に当たらない角度で作業しなけれなりません。力を加えるのに良い角度が取れない場合は諦めることが賢明です。怪我をしてはアカンもんね。
2. 裏蓋をはずす。
3. リューズを抜く。
(おしどりの位置はここ。ここを細い針かピンで押しながらリューズを引くと抜けます)
4. ムーブメントをはずす。
(一体のブメントと文字盤・針は、プラスチックのスペーサーに入ってケースに挿入されています。
時計をひっくりかえすとスムーズに出てくる場合と、きつく入っていてなかなか抜けないものもあるので慎重に)
5. ここから圧入工具の出番。圧入工具コマの穴が風防よりも大きくてコマの縁がケースよりも小さいコマを圧入工具の下にセット。上には風防より小さくて出来るだけケース内径に近いコマをセット。
6. 下のコマにケースを裏向き(風防が下)に置いて、慎重にハンドルを絞ると、ポン!と風防が外れます。
7. 風防が外れ、ケースを表向きにすると、ケースに、チャプターリングがある場合はチャプターリングと、ガラス縁パッキン(細い帯状の輪)がセットされています。パッキンは外した風防に付いている場合もあるので注意。この2つのパーツは大切に。
8. ケースに裏蓋を付けます。
9. ケースを表向きに水平が保てるように、圧入工具コマの穴が裏蓋より大きくて縁がケースの平らな部分にピッタリ合うコマを下に、上には風防より小さく出来るだけ風防サイズに近い縁を持つコマをセット。
10. ケースにチャプターリングをセット。リング裏面の位置を合わす小さな突起をケースの位置穴にはめてセット。
ガラス縁パッキンをケースの内側にセット。
11. 新しい風防をケースに慎重にセット。指の力では圧入できないので、正確な位置に置く感じ。風防が傾いていたりすると、圧入の際にパッキンをつぶしてしまう可能性があるので、正確に慎重に。
12. 圧入工具にケースをセット。慎重にハンドルに力を加え、少しずつ、ケースを回しながら、平均に力がかかるように圧入していきます。途中で風防がケースに水平に入っているか目で確かめます。風防の出がケースの縁から平均していればOK(だと思う)。
13. あとはケースに風防がしっかり入るまでハンドルに力を加えます。
14. この状態で、リューズだけをケースに取付け、水に沈めて簡単な防水検査してみるのもいいですね。
15. 裏蓋を開け、表向きに置いたムーブメントに慎重にケースをかぶせます。12時の位置をちゃんと決めて。
16. ケースをムーブメントごとひっくりかえして、ケースのリューズ穴位置と、ムーブメントのリュース挿入位置を慎重にきっちり会わせてからムーブメントをケースにしっかりはめこみます。
17. リューズを慎重にケースのリューズ穴に差し込み、ムーブメントに挿入します。ケースとムーブメントのはめ込みがきっちりしていれば、リューズはスムーズに抵抗無しに挿入できます。
もし、抵抗があったり入らない場合は前の手順からやり直します。無理にリューズを押し込むとリューズの針(天真)が毀損し取り返しが付かなくなるので慎重のうえにも慎重に。
18. 裏蓋を締めます。この時裏蓋パッキンがきちんとはまっていることを確認。また、パッキン用のシリコングリスがあればパッキンに塗布していくと完璧です。
19. 回転ベゼルがある場合、最後に回転ベゼルをセットします。
ラチェットリングの裏側の突起をケースの小さな穴に合わせてセットし、ベゼルの内側の溝にベゼルパッキンがきっちりとハマっていることを確認して、ベゼルをケースにはめます。指の力では完全にはめることは出来ないので、圧入工具の上のコマをベゼルの大きさのコマに付け替え、ハンドルを絞ると、パチン!とセットできます。回転させて本来の動きをしない(スルスル回ったり、固く回らなかったり)場合、再度外してベゼル内側のパッキンの状態を確認します。動作不良はほとんどがベゼルが傾いているかパッキンのセット状態の不良のようです。

んんんん〜、長い手順やな。しかも、読み返すと不安なこともいっぱいのようで・・・。でも、大丈夫。正確・慎重を旨にやってみれば意外と簡単です。

なお、手順の記述は僕がやったことと、その感想なので、専門家から見れば間違っているかもしれません。まだまだ勉強途中なのでご容赦を!

実用腕時計のブランドと価値、そして最良の選択

 

● ブランドと歴史

ヴァシュロンコンスタンティン社はなんと1755年創業
パテック・フィリップ社はパテックさんが1839年創業、1851年時計士のフィリップさんと組んでパテック・フィリップ社に。現在の腕時計の当たり前であるリューズによるゼンマイの巻き上げ、針の調整という技術を作り上げている。
オメガの前身ルイ・ブラン兄弟社は1848年創業、1894年には画期的な高性能小型ムーブメント「Ω」を開発し、1903年オメガ社となる。
ロレックスの前身ウィルスドルフ&ディビス社は1905年創業、1908年ロレックス社となり、1931年には世界初の自動巻機構パーパエチュアルローター、1945年には日付の小窓表示を開発、これがデイジャスト。

みな大変な歴史を持っています。
ヴァシュロンやパテック・フィリップは芸術的な複雑時計を今も作り続けていて、ブランドとしては雲の上の存在ですね。
大半の部品を熟練の職人がその手で生み出す製品と、量産の機械で生産する製品を同じ土俵で比較することはできません。
オメガは創業以来その優れた技術で素晴らしい精度の時計を量産し、一時はスイスを代表するメーカーになりましたが、1980年代にはセイコーによる買収騒動があったりして現在ではスウォッチグループの一員(ロンジン・ティソ・ラドー・ハミルトンなんかと一緒)です。
ロレックスは比較的新しいと言えますが、量産時計の革新的な機構を多く開発・保有し誰もが知るナンバーワンブランドになっています。

こうやって見ると、現在の腕時計の原型といえる懐中時計の技術は19世紀半ばに欧州で確立され、その後半から20世紀初頭に腕時計へと発展する歴史が見て取れます。しかし大切な点は19世紀半ばに花開く以前、18世紀から続く技術の蓄積があったということです。

一方日本のセイコー、前身の服部時計店は1881年創業、1895年に懐中時計(タイムキーパー)、1913年に腕時計(ローレル)、自動巻は1956年に発売。
その後、1968年に精度を競うスイス天文台コンクールで遂に腕時計総合1位となり、常連であったオメガやゼニスに追いつきます。そして1969年には世界初のクォーツ式腕時計を発売します。実際精度を競う天文台コンクールの意義を失わせるくらいの精度の腕時計の量産が始まります。精度という観点では、世界の腕時計の勢力地図を塗り替えた出来事です。

客観的に時計を評価すると、雲の上は別として量産時計では、皆それなりの歴史と発展の礎となった革新的な技術を持っています。
確固たるアイデンティティを持った企業だからこそ手に入れることができた技術です。
ロレックスも、オメガも、セイコーも、同じです。
しかし、ブランド”イメージ”というものは違います。新興勢力がいくらいいものを作っても、老舗がその歴史を誠実に維持している限りイメージを覆すのは容易ではありません。

● 企業の持つアイデンティティと個人の嗜好の一致が大切

セイコーとスイスの老舗では単純に半世紀、その前の技術の蓄積を考えれば一世紀以上の歴史の差があります。
例えば自動車でも、カール・ベンツが世界初のガソリンエンジン車パテントモートルバーゲンを発表したのが1885年。トヨタがG1型トラックの生産を始めたのが1935年。半世紀の差があります。半世紀以上の時間は企業が優良なイメージを確立させるのには十分な時間です。レクサスがどれだけ頑張っても、スリーポインテッドスターと同列で語ることはできても、最終的にかないません。
定着したイメージというものはそんなものだろうと思います。セイコーも同じです。

これは、視点をずらしてオメガやロレックスからヴァシュロンやパテックフィリップを見た場合でも同じだと思います。
つまり、”イメージ”としては上には上があって、ブランドイメージの”ランク”、”自慢”には意味がないということです。
大切なのは自分が選ぶブランドが独自のアイデンティティを確立しているかどうかです。
腕時計は”嗜好品”と言っていいものだと思っています。自分の嗜好と判断基準で、自分と波長の合うアイデンティティを持った”好きな”ブランド・商品を選ぶのがベストです。
ロレックスと波長の合う人はロレックス。シチズンと波長の合う人はシチズン。そこには何の差もありません。

header_nega

● 工業製品である以上、しっかりした技術を持つメーカーを選ぶ

僕の初めての腕時計は小学校の時流行ったディズニーウォッチ、ピンレバー式の機械時計。高校の時(親の羽振りが良かった時期で)キングセイコー、社会に出てからは最初オメガ(型式は忘れた)これとキングセイコーは水で壊してしまって、オメガ(デビル)、セイコークォーツ(ドルチェ)、その間ブームだったカシオの”ペラ”。
基本的にオメガやセイコーが好きでした。ギリシャ語のアルファベットの最後の文字ということや、オメガという音の響きがただ好きだっただけです。セイコーは僕らの世代では持って当たり前のものでしたから。
ただ、40年近くになる手巻きのオメガデビル、オーバーホールは一回だけ、一昨年ゼンマイが切れ修理。今でも高精度で動きます。ステンレスのケースこそ傷だらけですが、一生ものとはこういうものだろうと感心します。
セイコードルチェも30年以上になりますが電池さえ交換すれば今でも年差+1分位で動きます。ケースのチタンも、文字盤にもくすみはありません。

oldwatch
この二社は耐久製品として完成された物を確実に量産する真摯な企業のアイデンティティがあると感じます。そんなところで自分と会う波長を感じます。
ロレックスは始めから興味がありませんでした。老若を問わず、特に高価なロレックスをはめている人で人格に疑問を感じる人を何人も見ているからです。
但し、サブマリーナとエアキング、エクスプローラは別だったのですが、最近は金融時計のイメージもあるので、やはり波長があいません。「お前にくれてやる」と言われてもいりません。(正直、一流の時計だと思います。が、製品自体の価値に比べ高すぎませんか?最近、特に)

● 価格は関係く、自分の好きな自信の持てるものを

僕は、自分が持つ腕時計は昔なら10万円以上、今なら20万から30万円位のものが当たり前、それ以下は恥ずかしいと思っていました。
でも、オメガがこわれた時、どちらもデザインだけですが自分と波長の合う、ハミルトン(カーキ)とセイコー(SARB035)を買いました。
そのときの金欠が功を奏し、いずれも5万円クラスですが、どちらも高品質、とてもいい時計に出会えました。ブランドという色眼鏡を捨てれば、10万・20万の時計と比べても目立った遜色は全くありません。目的に合わせ、どこへでも自信を持って連れて行ける時計です。
その後に手に入れたセイコーの一番安いダイバーSKX009/007もそうです。どちらも2万円前後、サブマリーナ1本で50本も買える安い時計ですが、常用時計に今一番のお気に入りです。
ハミルトンにもしっかりしたアイデンティティを感じます。高品質な時計をリーズナブルな価格で提供する・・、セイコーと同じにおいを感じます。
機会があれば38mmのイントラマティックがほしいと思っています。

腕時計は嗜好品。今は、価格に関係なく自分が好きなものを自信を持ってはめられる。これこそ一番だと思っています。