実用腕時計のブランドと価値、そして最良の選択

 

● ブランドと歴史

ヴァシュロンコンスタンティン社はなんと1755年創業
パテック・フィリップ社はパテックさんが1839年創業、1851年時計士のフィリップさんと組んでパテック・フィリップ社に。現在の腕時計の当たり前であるリューズによるゼンマイの巻き上げ、針の調整という技術を作り上げている。
オメガの前身ルイ・ブラン兄弟社は1848年創業、1894年には画期的な高性能小型ムーブメント「Ω」を開発し、1903年オメガ社となる。
ロレックスの前身ウィルスドルフ&ディビス社は1905年創業、1908年ロレックス社となり、1931年には世界初の自動巻機構パーパエチュアルローター、1945年には日付の小窓表示を開発、これがデイジャスト。

みな大変な歴史を持っています。
ヴァシュロンやパテック・フィリップは芸術的な複雑時計を今も作り続けていて、ブランドとしては雲の上の存在ですね。
大半の部品を熟練の職人がその手で生み出す製品と、量産の機械で生産する製品を同じ土俵で比較することはできません。
オメガは創業以来その優れた技術で素晴らしい精度の時計を量産し、一時はスイスを代表するメーカーになりましたが、1980年代にはセイコーによる買収騒動があったりして現在ではスウォッチグループの一員(ロンジン・ティソ・ラドー・ハミルトンなんかと一緒)です。
ロレックスは比較的新しいと言えますが、量産時計の革新的な機構を多く開発・保有し誰もが知るナンバーワンブランドになっています。

こうやって見ると、現在の腕時計の原型といえる懐中時計の技術は19世紀半ばに欧州で確立され、その後半から20世紀初頭に腕時計へと発展する歴史が見て取れます。しかし大切な点は19世紀半ばに花開く以前、18世紀から続く技術の蓄積があったということです。

一方日本のセイコー、前身の服部時計店は1881年創業、1895年に懐中時計(タイムキーパー)、1913年に腕時計(ローレル)、自動巻は1956年に発売。
その後、1968年に精度を競うスイス天文台コンクールで遂に腕時計総合1位となり、常連であったオメガやゼニスに追いつきます。そして1969年には世界初のクォーツ式腕時計を発売します。実際精度を競う天文台コンクールの意義を失わせるくらいの精度の腕時計の量産が始まります。精度という観点では、世界の腕時計の勢力地図を塗り替えた出来事です。

客観的に時計を評価すると、雲の上は別として量産時計では、皆それなりの歴史と発展の礎となった革新的な技術を持っています。
確固たるアイデンティティを持った企業だからこそ手に入れることができた技術です。
ロレックスも、オメガも、セイコーも、同じです。
しかし、ブランド”イメージ”というものは違います。新興勢力がいくらいいものを作っても、老舗がその歴史を誠実に維持している限りイメージを覆すのは容易ではありません。

● 企業の持つアイデンティティと個人の嗜好の一致が大切

セイコーとスイスの老舗では単純に半世紀、その前の技術の蓄積を考えれば一世紀以上の歴史の差があります。
例えば自動車でも、カール・ベンツが世界初のガソリンエンジン車パテントモートルバーゲンを発表したのが1885年。トヨタがG1型トラックの生産を始めたのが1935年。半世紀の差があります。半世紀以上の時間は企業が優良なイメージを確立させるのには十分な時間です。レクサスがどれだけ頑張っても、スリーポインテッドスターと同列で語ることはできても、最終的にかないません。
定着したイメージというものはそんなものだろうと思います。セイコーも同じです。

これは、視点をずらしてオメガやロレックスからヴァシュロンやパテックフィリップを見た場合でも同じだと思います。
つまり、”イメージ”としては上には上があって、ブランドイメージの”ランク”、”自慢”には意味がないということです。
大切なのは自分が選ぶブランドが独自のアイデンティティを確立しているかどうかです。
腕時計は”嗜好品”と言っていいものだと思っています。自分の嗜好と判断基準で、自分と波長の合うアイデンティティを持った”好きな”ブランド・商品を選ぶのがベストです。
ロレックスと波長の合う人はロレックス。シチズンと波長の合う人はシチズン。そこには何の差もありません。

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● 工業製品である以上、しっかりした技術を持つメーカーを選ぶ

僕の初めての腕時計は小学校の時流行ったディズニーウォッチ、ピンレバー式の機械時計。高校の時(親の羽振りが良かった時期で)キングセイコー、社会に出てからは最初オメガ(型式は忘れた)これとキングセイコーは水で壊してしまって、オメガ(デビル)、セイコークォーツ(ドルチェ)、その間ブームだったカシオの”ペラ”。
基本的にオメガやセイコーが好きでした。ギリシャ語のアルファベットの最後の文字ということや、オメガという音の響きがただ好きだっただけです。セイコーは僕らの世代では持って当たり前のものでしたから。
ただ、40年近くになる手巻きのオメガデビル、オーバーホールは一回だけ、一昨年ゼンマイが切れ修理。今でも高精度で動きます。ステンレスのケースこそ傷だらけですが、一生ものとはこういうものだろうと感心します。
セイコードルチェも30年以上になりますが電池さえ交換すれば今でも年差+1分位で動きます。ケースのチタンも、文字盤にもくすみはありません。

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この二社は耐久製品として完成された物を確実に量産する真摯な企業のアイデンティティがあると感じます。そんなところで自分と会う波長を感じます。
ロレックスは始めから興味がありませんでした。老若を問わず、特に高価なロレックスをはめている人で人格に疑問を感じる人を何人も見ているからです。
但し、サブマリーナとエアキング、エクスプローラは別だったのですが、最近は金融時計のイメージもあるので、やはり波長があいません。「お前にくれてやる」と言われてもいりません。(正直、一流の時計だと思います。が、製品自体の価値に比べ高すぎませんか?最近、特に)

● 価格は関係く、自分の好きな自信の持てるものを

僕は、自分が持つ腕時計は昔なら10万円以上、今なら20万から30万円位のものが当たり前、それ以下は恥ずかしいと思っていました。
でも、オメガがこわれた時、どちらもデザインだけですが自分と波長の合う、ハミルトン(カーキ)とセイコー(SARB035)を買いました。
そのときの金欠が功を奏し、いずれも5万円クラスですが、どちらも高品質、とてもいい時計に出会えました。ブランドという色眼鏡を捨てれば、10万・20万の時計と比べても目立った遜色は全くありません。目的に合わせ、どこへでも自信を持って連れて行ける時計です。
その後に手に入れたセイコーの一番安いダイバーSKX009/007もそうです。どちらも2万円前後、サブマリーナ1本で50本も買える安い時計ですが、常用時計に今一番のお気に入りです。
ハミルトンにもしっかりしたアイデンティティを感じます。高品質な時計をリーズナブルな価格で提供する・・、セイコーと同じにおいを感じます。
機会があれば38mmのイントラマティックがほしいと思っています。

腕時計は嗜好品。今は、価格に関係なく自分が好きなものを自信を持ってはめられる。これこそ一番だと思っています。

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