ネットの写真だけで買うのはどうかな?
腕時計のデザインを決定する要素は意外にたくさんあります。
ケースの形・大きさ・色・磨き、ケース曲面の形状、ラグの形・長さ、ベゼルの形状・質感・色、リューズの大きさ、風防の形状、ベルトの質感、ダイヤルの色・磨き、インデックスの形・質、針の色・質・長さ・・等々。
どれ一つをとってもその腕時計の全体印象を左右する大切な要素です。
インターネット通販で腕時計を購入しようと思うと、掲載された情報から、実際のデザイン要素をいくつ把握することが出来るでしょうか。
僕は、重要な個々のデザイン要素を読み取ることはできない。と思っています。
全体のおおよその印象はつかめます。でも、ケースの大きさだけでも写真からは判断できないし、詳細と称する説明もいい加減なものが多いと感じています。
アマゾンなんかは掲載する写真の規格が白背景・正面などと決まっているようで、把握できるその時計のデザイン的な特長は全体の形と文字盤の印象くらいです。表面がグロスなのかマットなのかも分かりません。これではいいも、わるいも分かりませんよね。
時計屋で見て、型番を確認して、ネットで買う。というなら分かりますけどね。
風防だけでも印象に大きな違い!
特にネット掲載の写真では分からない要素の一つが風防だと思います。
風防にはおおよそ3種の形があります。表面がフラットなもの、ゆるやかな曲面になったもの、ドーム状になったもの。
僕が子どもの頃、大人のしている時計はほとんど最後のドーム状のものでした。最近はフラットなものが多いですね。
素材もおおよそ3種、高価な順からサファイヤ、ミネラル、プラスチック(アクリル)。この順は硬さや透明度の順でもあります。

正面と斜め、一つの時計が持つ二つの表情。得した気分やね!
僕は曲面になったものが好きです。本当はクラシックなドーム型がいいのですが、不注意な性格でついついモノに時計を当ててしまうのでドーム型は不向だからです。ちなみにドーム型は加工のしやすさからほとんどがプラスチックです。
サファイヤは硬くて成形しにくいからかフラットなものがほとんどですが、たまに曲面のサファイヤ(カーブ サファイヤ)を装着したものがあると欲しくなります。ミネラルは結構加工しやすいのか経済的な値段の時計でも曲面のものが多くあります。
フラットな風防を持つ時計はそれなりに見やすくていいのですが、角度を変えて見ても印象はさほど変わりません。しかし、曲面の風防を持つ時計は斜めから見た時のもう一つの表情が豊かで、クラシカルな雰囲気につい見とれてしまいます。一つの時計で二つの印象、得した気分になりませんか?
時計を腕に着けて、いろんな角度から見て、初めてわかる特別な表情があります。それはとても魅了的なものです。
上の写真はシチズンメタルフェイス CA0454-56E 実売27〜28千円くらいの比較的安いモデルです。
セイコーSDN363を素人細工でクズにしてしまった時(クズにした顛末は、安いクロノグラフ改造編(under ¥10k) )に、貯まっていたビックカメラのポイントで手に入れたものです。
球面ガラスって言ってますが、ミネラルを曲面にしてベゼルから少し盛り上げて装着し、ドームのような雰囲気を作っています。リューズの真上に映っている白い光はベゼルではなく盛り上がった風防の反射です。左上はネットなんかでよく見るこの時計の写真。
インターネット通販の写真ではこの雰囲気はわかりませんよね。
だから、時計を手に入れようと思ったら絶対に時計屋に行くべきです。いろんな角度から眺めて、腕に着けて、それからお金を払うべきだと思います。
なかなか店に行けない人に、出来るだけいろいろな角度から時計を見ることができる動画をUPしています。
暇があったら一度見てね。
https://www.youtube.com/channel/UCDizOP7RcU8oU6jYrUijpzw
高級な腕時計はほとんどがサファイヤを使っています。しかしスイスの高級品の中で古くからあるクラシカルな人気商品はアクリルのドーム型が多く、これらを時勢に合わせるためにサファイヤをカーブに加工して前述のシチズンのようにベゼルから盛り上げて装着するなど、雰囲気を壊さずにモデルを継承するよう、メーカーも苦労されているようですね。